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扱う疾患と特色

産科(周産期)部門の休止について
産婦人科は産科婦人科というのが正式名称で、生殖に関係する診療科として妊娠・分娩を扱う産科と女性生殖器の異常を扱う婦人科を併せた形で構成されていました。しかしながら最近では産婦人科の概念は変わってきて、思春期から更年・老年期に至るまでの女性の一生に対応する診療科となっています。いろいろな領域で高度な専門知識が必要となり、診療内容も細分化されてきています。現在では周産期・生殖・腫瘍・女性ヘルスケアの4つにサブスペシャリティ領域に分かれています。当科では2022年3月まで全ての領域での資料を幅広くおこなうことを理念として診療をおこなってきました。2022年4月からも産婦人科常勤医数に減少等はありませんが、医師の働き方改革等の医療改革の流れもあり、札幌厚生病院のような総合病院の産婦人科も機能を限定し、限られた領域で高度な医療を担うことが、社会的に適正に使命を担うありかたと考え、産科(周産期)部門を一時休止して、婦人科(腫瘍やヘルスケア)・生殖内分泌領域に特化して診療をおこなうこととなりました。

扱う疾患と特色

札幌厚生病院婦人科では治療方針について明確で十分な説明と効率的な診療計画(クリティカルパス)の明示により、患者さまに納得いただける医療の提供を重要視しています。

1.婦人科腫瘍領域

婦人科がん(子宮がんや卵巣がんなど)の診断・治療は、さまざまな側面から、知識と技術を結集して高度な集学的医療を計画することが重要です。それには婦人科医だけでなく、消化器科、放射線科、外科、泌尿器科、病理診断科、緩和ケア科、麻酔科などの専門医の協力が必要です。更に医師だけではなく薬剤師、看護師などの医療スタッフがさまざまな場面で患者さんを身体的、精神的にサポートするチーム医療体制が極めて大切です。当院はそのような高度な集学的チーム医療を提供できる病院です。
悪性腫瘍の治療については病院や医師によって治療法が著しく異なることが無いように、日本婦人科腫瘍学会等から治療ガイドラインという標準的な治療法が示されています(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん治療ガイドラインなど)。しかしこれらはあくまで治療の指針を示しているもので、個々の患者さまの状態や事情に必ずしも即しているとは限りません。当科ではこれらのガイドラインを尊重しつつ、ひとりひとりの患者さんにあったオーダーメイドの治療法を患者さまご本人やご家族と直接相談しながら決めていきます。

放射線療法(CCRTとRALS設備)
進行子宮頚がんの患者さまへの治療としてCCRT(放射線化学同時併用療法)があります。現在当院では標準的なCDDPによるCCRT以外にも、腺癌進行例や遠隔転移症例等にはTP(PTXとCDDP)を使用したCCRTも実施しています。

また日本では放射線の直腸や膀胱への被爆を極力少なくする方法としてRALS(遠隔小線源治療)が従来から開発されています。当院の放射線科ではRALSの設備を維持しています。現在RALS設備を維持している病院は限定されてきていますので、放射線科と協力して積極的に進行子宮頚がんの患者さまを受け入れることによって、できる限りこの機能を維持して全道の患者さんの治療に貢献したいと考えています。
婦人科良性疾患(子宮筋腫や良性卵巣腫瘍など)のために手術が必要な患者さまに対しては、まず腹腔鏡や子宮鏡などの内視鏡を用いた手術が可能かどうかを検討し、できるだけ患者さまに負担の少ない手術を目指しています。
2021年から当院にも最新型医療用(手術用)ロボットであるダヴィンチXiが導入されました。婦人科でも症例を選んでロボット支援下子宮全摘術を実施しています。
婦人科は月曜日以外平日全ての日に手術を実施しています。少しでも速やかに、またご希望の日に手術ができるように体制を整えています。

2.生殖内分泌領域

当院は生殖内分泌専門診療部門(2012年に病棟内に培養設備・採卵設備を完備した専用ユニットを造設)を持つ数少ない総合病院です。子宮内膜症や子宮筋腫に対しての内視鏡手術を用いた治療やタイミング法から排卵誘発などのホルモン療法、人工授精(AIH)、体外受精・胚移植(IVF-ET)・顕微授精・胚および卵子凍結など不妊に関するほぼ全ての生殖補助医療の治療を実施しています。
日本国内では生殖補助領域の医療機関はその特殊性から生殖医療に機能を特化したクリニックが殆どです。結婚年齢の高齢化に伴い、挙児希望はあるが様々な他疾患を有していて悩んでいる患者さんも多くなっています。当科では他科と連携し疾患の治療も生殖補助医療も同時に行い、妊娠成立を目指すことができます。

がん生殖外来(妊孕性温存) *詳細は別掲
札幌厚生病院は日本産科婦人科学会・北海道から公認された医学的妊孕性温存療法実施施設(道内で8か所)です。子供~AYA世代に悪性腫瘍や難病に罹患され、治療(抗がん剤・放射線等)のために妊孕性(妊娠する能力)が低下してしまうと予想される患者さんに、がんの治療後の人生でより多くの可能性を温存するために、生殖補助医療を用いて、妊娠する能力を少しでも温存する医療を行っています。この医療には2021/04から助成制度が適応され、指定施設での実施に限り助成を受けることができます。(当院は日本がん生殖医学会認定ナビゲーターも在籍することから、道内で2施設しかない日本がん生殖医学会公認妊孕性温存実施施設の一つでもあります。)

3.女性ヘルスケア領域

日本は本格的な高齢化社会に突入しています。女性のQOL維持・向上は国民全体の重要な課題となりつつあります。女性の生涯を通じたヘルスケアは産婦人科医療の中でも一つの専門領域として重要性・必要性が認識されつつあります。札幌厚生病院婦人科では複数の女性ヘルスケア専門医、更には東洋医学にも精通した医師も在籍しています。
思春期から性成熟期における無月経・月経不順・月経困難症・月経前症候群(PMS)、更年期における体調不良・更年期障害、閉経後の骨粗鬆症・性器脱など様々なその年代特有の症状があります。患者さんが抱える個々の症状や悩みを医学的に解析し、相談や説明を受けていただくことによって、ご自身の身体的・精神的状態を理解していただき、それぞれの状態にあった治療を選択することによって効果や安心を得ることができます。

女性アスリート外来 *詳細は別掲
当科には婦人科を専門とする日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医が在籍する道内で数少ない医療機関です。女性アスリートの体調・競技サポートを行うアスリート外来を開設しています。オリンピックや国際大会に出場されるようなトップレベルのアスリートから部活動や一般の方の運動レベルまで様々なレベル・競技内容・特性・日程を十分に考慮した診療をおこなうとともに、皆様の競技人生の障害にならないように世界ドーピング防止機構(WADA)のドーピング違反等の投薬問題にも細心の注意を払っています。

HPVワクチン外来 *詳細は別掲
当院ではHPVワクチンについても、2022/04以降にHPVワクチン専門外来(完全予約制)を開設して対応する予定です。ご存じのように日本はHPVワクチンについては副反応の懸念から、世界の中で唯一に近くHPVワクチン定期接種の積極的勧奨が中止している国です。現在様々な知見からHPVワクチンの副反応については不安が薄れつつあり、2021/11/26に厚生労働省から積極的勧奨中止が廃止される決定が通知されました。1997年(平成9年)~2008年(平成20年)のキャッチアップ世代を含めて希望される全ての方に接種ができる体制を作りたいと考えています。現在HPVワクチンには2価・4価・9価のワクチンが開発されています。特に9価のワクチンは投与する医師に資格があります。副反応や積極的勧奨における助成制度などきめ細かい対応が必要と考え、一般診療とは別に専門外来を開設しています。

最終更新日:2022年12月05日

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