現在位置の階層

  1. ホーム
  2. 病院概要
  3. 部署紹介
  4. 医療技術部
  5. 放射線技術科
  6. 放射線治療

放射線治療

 放射線治療は手術・化学療法とともに、主に悪性新生物(がん)治療の一翼を担っており、2010年の全国統計では、がん患者さんの3割強が実際に放射線治療をうけています。欧米では6割程度であり、今後も放射線治療をうける患者さんが増えることが予想されます。当院は、年間300名以上の新規患者さんの治療をおこなっており、年々増加傾向にあります。
 放射線治療には、機能や形態の温存、身体への負担が少ないという特徴があり、合併症をお持ちであったり、体力が低下していたり、手術や抗がん剤治療が難しい患者さんでも治療を行うことができます。治療後も今まで通りの生活の質(QOL:Quality of Life)を維持することが可能です。

 治療技術の進歩により、放射線治療で根治可能な疾患も増えており、治癒率を高めることを目的として手術や抗がん剤との併用療法も行われます。標準的な治療が整備される一方で多様化も進み、一人ひとりの患者さんに応じた治療方針を決定することが重要であり、「キャンサーボード」という内科、外科、放射線科、緩和支持治療科などの診療科の垣根を取り払った検討会を通じて、最良の治療を提案できる体制を整えています。

 最良の治療を選択したにもかかわらず、がんは骨や脳、リンパ節に転移し、痛みや神経症状などのつらい症状を引き起こすことがありますが、放射線治療はそれらの症状を緩和することも可能です。少数個の脳転移や単発の原発性肺がんや肝臓がんには、身体への負担を最小限とすべく、定位照射(いわゆるピンポイント治療)を行っています。複数個所の骨転移や甲状腺がんに対しては、通常の外照射療法に加えて体内に放射性物質を投与する内照射療法も可能です。

 当院は「地域がん診療連携拠点病院」に指定されており、放射線治療専門医、医学物理士、放射線治療専門放射線技師といった専門知識を有した経験豊富なスタッフが、日々の治療や、機器の精度管理、放射線治療計画検証等を行い、安心して治療をうけて頂くことが可能です。

 放射線治療外来診療は毎日行っていますが、予約制となっております。受診を希望される際は主治医とご相談下さい。
treu Beam

直線加速器 Varian社製 TrueBeam

■定位放射線治療(SRT:Stereotactic Radiotherapy)について

 定位放射線治療は、高い精度で位置決めを行い、病変の形に合わせた放射線ビームを多方向から集中的に照射する方法です。周囲の正常組織への影響を極力少なくし、ピンポイントで病気に放射線を照射します。
 当院では短期間(概ね4回/1週間)で行うSRTという方法を行っています。

○ 対象となる疾患
 基本的には単発の比較的小さな腫瘍に対して行われますが、近年では適用範囲も拡大してきました。当院では主に以下の疾患に対して定位放射線治療を行っています。
 ・ 3cm以下の脳腫瘍(原発性、転移性含む)  
 ・ 5cm以下の肺腫瘍、肝腫瘍(原発性、転移性含む)

SRT

■動体追跡放射線治療 (RTRT:Real-time Tumor-trucking Radio Therapy) について

動体追跡放射線治療は、体内に1.5~2.0mm程の小さな金マーカーを埋め込み、バリウム検査などで使用する透視装置を用いて決められた位置(息を吐いたときの位置)に金マーカーが来た時のみ治療用ビームを出す方法です。呼吸などで動く病気に対して効果を発揮します。また、体内を直接観察しながらビームを出すことができるため、最小限の照射範囲で治療を行うことができます。
対象部位は、肺(主に下肺野)、肝臓となります。
RTRT

図のように病気の近くに金マーカーを留置し、
赤枠(呼気相)のところに来た時のみ放射線を照射します。
(緑の位置では照射をストップします)

○ 呼吸同期放射線治療について
 動体追跡放射線治療と同じく、呼吸で動く病気に対して行われる治療方法です。お腹の上に赤外線反射マーカーを置き、呼吸の動きをカメラで確認して、呼気相(息を吐いたタイミング)で照射を行います。金マーカーの留置が困難な患者さまでも可能な照射方法です。
呼吸同期

■強度変調放射線治療 (IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy) について

強度変調放射線治療は、目標となる病気や臓器の形が不整形で、近くに正常組織が隣接している場合等に目標に対してのみ強く放射線が当たるように角度や放射線量をコントロールする治療方法です。 複雑な線量分布となるため、計画通りの分布になっているかを、事前に確認します。そのため、治療計画CT撮影から初回の治療日まで4日から1週間程度の時間が必要となります。対象となる疾患は主に限局性の前立腺がん、頭頸部がんとなりますが、詳細は治療医にご相談下さい。
IMRT
○ 治療精度管理
 当院では、通常の放射線治療に加え、IMRT、RTRT、SRT等の高精度放射線治療も実施しております。照射する放射線の強さや量の管理はもちろん、位置精度が極めて重要となることから、高い位置精度を担保するため、体を固定する固定具を作成したり、毎回、レントゲン写真やCTにて病気の位置を確認後に放射線照射を行います。

■画像誘導放射線治療(IGRT:Image Guided Radiotherapy)について

 画像誘導放射線治療(IGRT)とは、治療用の放射線を照射する前に治療装置に付属しているX線装置を用いてレントゲン写真やCTを撮影して位置合わせを行う治療方法です。病気の位置と放射線の位置を合わせてから治療を行うことができるので、より精度の高い治療を行うことが可能となります。
 
 下の図では、治療計画で計算された位置と治療前の確認写真の位置にずれがある場合、遠隔操作にて一致するように治療台の位置を調整します。位置があっていることを確認した後、治療用の放射線を照射します。
IGRT
 画像の照合は一般的には骨を基準としますが、腫瘍そのものや臓器(前立腺など)を目標に合わせ込む場合はやや時間はかかりますが、CTを撮影して、より高精度の位置修正を行います。

■Q & A

放射線治療に関する一般的なQ&Aは、関連学会のホームページを参考として下さい。

当院における放射線治療に関するQ&A

Q:放射線治療を受けたいのですが…
A:地域医療連携室を通して主治医の紹介状をお持ちのうえ、予約をおとり下さい。

Q:セカンドオピニオンには対応していますか?
A:対応しております。

Q:体のに書いてある線が消えてしまいました。 
  貼ってあるシールがはがれてしまいました。
A:印は消えたり、剥がれることを想定して多めに書いているので、多少の消失は治療に
    支障はありません。毎回の治療時に確認し、新しい印を書き足していきます。

Q:お風呂に入ることはできますか?
A:長湯を控えていただければ、入浴は可能です。

Q:仕事をしながら治療はできますか?
A:安定した体調を維持できる範囲での仕事は問題ありませんが、主治医と相談のうえ、
   決めてください。

Q:ほかの人と治療回数が異なるのですが?
A:治療する場所や目的に応じて、放射線の種類や範囲、量、回数等が決められます。

Q:治療中に予約時間を変更できますか?
A:時間の変更は可能です。放射線技師又は看護師にご相談下さい。

最終更新日:2021年08月19日

現在位置の階層

  1. ホーム
  2. 病院概要
  3. 部署紹介
  4. 医療技術部
  5. 放射線技術科
  6. 放射線治療