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放射線科 経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)

経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)のご紹介

6月からTIPSが保険適応になりました

はじめに

TIPSは2026年6月に日本で初めて保険適用となった新しい治療です。
10/19時点で当院は4例のTIPS治療を実施しており、北海道で唯一施行している施設です。
 
肝硬変が進行すると、門脈圧亢進症という状態になり、食道・胃静脈瘤や難治性胸腹水などの合併症が生じることがあります。食道・胃静脈瘤からの出血は生命に関わることがあり、また胸腹水が増加すると日常生活に大きな支障を来します。これらに対しては薬物治療や内視鏡治療が行われますが、効果が十分でない場合があります。
当院では、そのような患者さんに対して「TIPS(経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術)」を行っています。TIPSは肝臓内に新たな血液の通り道(シャント)を作ることで門脈圧を下げ、静脈瘤出血や難治性腹水の改善を目指す治療です。

TIPSの特徴

TIPSは首の静脈からカテーテルを挿入して行う低侵襲治療です。
肝臓を切除する手術とは異なり、お腹を大きく切る必要はありません。
肝静脈と門脈の間にステントを留置し、肝臓内に人工的なシャントを作成します。
これにより門脈圧が低下し、
  • 食道・胃静脈瘤再出血の予防
  • 難治性腹水の改善
  • 胸水貯留の改善
が期待できます。

適応

主に以下の患者さんが対象となります。
  • 内視鏡治療や薬物療法で十分に制御できない食道・胃静脈瘤
  • 難治性腹水、肝性胸水
  • 門脈血栓症
  • Budd chiali症候群
  • 門脈圧亢進症に伴うその他の合併症
患者さんの肝機能、全身状態、心機能などを総合的に評価し、適応を判断します。

当院におけるTIPS治療

まず首の静脈(内頸静脈)からカテーテルを挿入し、肝静脈まで進めます。
その後、画像装置を用いて肝静脈から門脈へ安全に穿刺を行います。
門脈圧を測定した後、風船による拡張を行い、専用のステントを留置します。
治療前後で門脈圧較差を測定し、十分な減圧が得られたことを確認します。
近年ではCT、超音波、血管撮影装置を組み合わせることで、より安全で正確な治療が可能となっています。

合併症

治療後には以下のような合併症が生じることがあります。
  • 肝性脳症
  • 出血
  • 感染症
  • 心不全の悪化
  • ステント狭窄・閉塞
これらの発生を早期に発見するため、治療後も定期的な外来受診と画像検査を行います。

治療効果

TIPSは門脈圧を低下させることで、静脈瘤再出血の予防や腹水コントロールに高い効果が期待される治療です。
特に難治性腹水や繰り返す静脈瘤出血に対して有効とされており、生活の質(QOL)の改善にもつながります。
当院では放射線科・消化器内科・外科が連携し、安全で質の高いTIPS治療を提供しています。
 

最終更新日:2026年10月19日

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